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ランニングの効用、あるいは鬱にならないための手順     2011.5.10

ゴールデンウィークが終わって、万事「やる気」が低下中。
生来、精神不安定な体質で、晴れれば元気になり、曇ればどんよりする。
そんな時は、冷蔵庫を覗くように、心の中を見回して燃料になりそうな切れ端を探す。
鬱になって何もしないでいると、下りのスパイラルから抜け出せなくなる。

何か、ワクワクできること、楽しそうなことはないか。
面白そうなテレビでもいいし、読みかけの本を思い出すことでもいい。
でも、美味しそうな残り物なんて、滅多に見つかりはしない。
食べかけのケーキも、賞味期限が気になって食欲が縮む。

そんな時こそ、ランニングが一番。
元気のない時に、外に出て走るなんて、敷居が高そうだが、意外とそうでもない。
とりあえず走り支度をしているうちにモードが変わる。
ほとんど脱ぎ捨てて薄着になるし、そうなると寒くて動くしかない。後戻りしにくい。
鬱からの脱出法のひとつに部屋の掃除があるが、着替えはずっと簡単で効果は高い。

着替えた勢いで、シューズを履き、外へ出る。
いいんだ、いいんだ、きょうはゆっくり流すだけだから。苦しいのは俺もイヤだから。
さっきから不機嫌に黙り込んでいる心に、そう言い聞かせれば、拒否まではされない。

派手なシューズに、ピチピチのタイツ、通りに出れば、いかにものスタイルで少しは視線も気になる。
そんなことまで刺激にさせてもらって、早足でいつものコース、隅田川テラスまでたどりつく。
相変わらず気持ちは盛り上がらず、走り出すスイッチを入れられないけれど、ストレッチなどをやっているうちに空白時間は来る。
その一瞬を逃さず、時計のボタンを押して、とにかく走り出す。

約束どおり、ゆっくり。
それでも、しばらくは体も心も重くてしかたないが、何も考えない。考えたら絶対にダメ。
5分もすると、なんとなく動いてるのが当たり前になり、頭も働かなくなる。
そう、思考困難、ここが最重要ポイント。
ここまで自分を引っ張ってこれればひと安心。
もう少し走れば、血が巡ってきて、体も軽くなり、汗が出てくれば、もうランニングモード。

予想に反してペースが速ければ、途中から欲も出てくるので、約束は捨ててスピードアップ。
いつものチェックポイントをこまめに使って、もう少し、もう少しと調子に乗せる。
終わりが見えてくれば、感謝の言葉の準備。
「サイコー、自己ベスト更新! よく頑張った!」
「遅かったけど、怠けず走った自分は偉い!」などなど。

汗びっしょりになって、走り終えると、ささやかな至福の時間。
一種のストレスから解放され、満足感がこみあげてくる。
怠惰な自分に負けず有意義な時間を過ごせた、という達成感。
さっきまでの、陰鬱な気分は霧消している。

走り始めて数年たった。
タイムも遅いし、自慢できるようなことは何もない。
意欲満々の時もあるが、以上のような日も少なくない。
では、何のために走っているのか。走り続けていられるのか。
私の場合、それは多分、自己肯定の気分を維持するため。
深く考えたことはなかったけれど、きっとそんなことだと思う。

さあ、今夜も仕事を終えて、走りに行こう。

   
TEAN旅籠屋